MENU

閉じる

ご意見・ご感想

ふれあいの輪は、新しいホームケア・在宅介護を目指して、
(公財)フランスベッド・ホームケア財団によって
運営されています。

ふれあいの輪

トピックスTopics

JICAの民間連携事業に協力

グローバルに展開する
フランスベッド(株)及び
フランスベッド・ホームケア財団の
在宅ケア推進・質向上活動

2023年12月6日 タイ パトゥムタニ県ブイントー市

本誌「ふれあいの輪」でも度々紹介しているように、フランスベッド・ホームケア財団は在宅ケアにおいてさまざまな推進活動を行っている。介護ベッドや福祉用具の使い方、介護に関する知識を情報提供するために日本全国に講師を派遣してきた。
これは国内のみにかかわらず、広く海外でも展開している。
ここに紹介するのは国際協力機構(JICA)の「民間連携事業」に協力した「タイ国日本式福祉用具レンタルサービス案件化調査」の事例である。
JICA(Japan International Cooperation Agency)は、日本の国際協力機関で、主に開発途上国への国際協力を担っている。「民間連携事業」とは、日本の民間企業による優れた技術・製品の導入や、事業への参入を「海外投融資」「中小企業・SDGsビジネス支援事業」などにより側面支援することで、開発途上国が抱える社会・経済上の課題解決に貢献する取組みのことである。(JICA 独立行政法人国際協力機構HP 民間連携事業より https://www.jica.go.jp/activities/schemes/priv_partner/index.html

タイ国日本式福祉用具レンタルサービス案件化調査

「タイ国日本式福祉用具レンタルサービス案件化調査」とは、使用しなくなったベッド等の福祉用具を使い捨てにするのではなく、リユースするシステムを導入することで、SDGs達成への貢献を目指している。

本案件では、フランスベッド株式会社が「貸し出し→使用中の点検→返却」のシステム(福祉用具をレンタルサービス)を、当財団では、適切な福祉用具を選択できる人材育成教育の紹介を担当した。当財団の具体的活動は、人材育成教育について市長および介護部長にプレゼンテーションするとともに、タイの介護ボランティア(ケアギバー)に福祉用具を利用した介護技術の研修会を開催した。

介護ボランティアへの介護研修会

研修会は2023年12月6日、タイのバンコク西郊パトゥムタニ県ブイントー市の高齢者ケア施設で行われた。対象は現地の介護ボランティア(ケアギバー)であった。

介護ボランティア20人が参加し、講師は日本の理学療法士 藤井智氏である。タイで使われている介護ベッドや安価なシートを用いた移乗技術の演習が実施され、日本の介護機器も紹介された。

ベッドから車いすへの移動や、福祉用具の使い方について演習を実施。介護を受ける人の残存能力を活かすことでお互いの負担が小さい介護にすることを意識した内容となった。受講生は、身体のサイズによって異なる介助の方法や、立つ前の姿勢、立ち上がり動作の確認などを学んだ。

参加した人はタイ国が指定する研修(70時間)を受講している正規のケアギバーであったが、本邦の理学療法士の介護指導は非常に好評であった。研修では受講者から多くの質問が飛び、技術の詳細について確認する声も上がるなど盛況であった。

レンタルサービスの協議と財団のプレゼンテーション

ブイントー市市長および介護部長にレンタルサービスシステムと介護人材育成についてプレゼンテーションした。

タイでは多くの自治体が主に寄付で介護ベッドなどを提供しているが、「要介護の高齢者が増えても持続可能な事業として」の可能性を検討するように勧めた。

協議の内容は以下のとおりであった。

・日本式レンタル事業のノウハウ
・自立支援、介護労力を軽減できる福祉用具
・非感染症を予防する洗浄、消毒技術
・福祉用具を取り扱う人材育成のための教育・研修の概要

スケジュール

期間:令和5年12月5日~12月9日
場所:タイ国 パトゥムタニ県ブイントー市バンコクから車で60分。
財団参加:高巣事務局長・理学療法士 藤井 智 氏

12/6
介護技術研修
レンタルサービスの協議
12/7
東海機器工業洗浄・消毒センター訪問
マハチャック訪問(展示会出展業者)
12/8
タイJICA訪問、タイJETORO訪問

「マハチャック訪問 東海機器工業洗浄・消毒センターの状況」報告

洗浄と消毒はレンタルサービスにおける最も重要なステップである。東海機器工業の技術は、オゾン水および100℃の高温水洗浄、湿熱による熱消毒で殺菌だけでなく、ダニやウィルスも死滅させる。洗浄後は必要な修理・点検を行う。

「タイJICAへの訪問」報告

タイにおける介護領域での官民連携の可能性に関する討議が展開された。

  • ・東南アジア・太平洋地域における官民連携促進に向けた情報収集・確認調査。
  • ・SDGsビジネス支援事業や海外投融資を通じて、広く民間提案を活用するスキームの整備。
  • ・円借款や技術でも、民間の課題意識を起点に案件形成する事例。
  • ・民間企業とのコラボレーションによりインパクトを増幅した事例となった。

「タイJETOROへの訪問」

タイにおけるヘルスケア市場に関するヒヤリングが行われた。

  • ・タイは、既に「65歳以上が人口の10%を超える」高齢化社会に入っている。
  • ・労働力不足、貯蓄率の低下、投資への影響が経済成長にブレーキをかけている。
  • ・タイは年々医療費が上昇。要因として「少子高齢化」と「生活習慣病」の増加。
  • ・ほとんどの国民は「国民医療保障制度(30バーツ保険)」に加入。富裕層は民間保険に加入している。