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ふれあいの輪は、新しいホームケア・在宅介護を目指して、
(公財)フランスベッド・ホームケア財団によって
運営されています。

ふれあいの輪

研究・事業助成採用事例Examples of research and business grants

八巻 睦子氏

国際医療福祉大学大学院 
医療福祉学研究科 博士課程

八巻 睦子氏

令和7年度(第36回)/研究助成

在宅介護における
「見守り支援機器」導入の
課題に関する研究

研究成果をもとに博士論文を執筆

財団の研究助成採用事例には、福祉用具そのものの開発・活用・安全管理などに関する研究もある。第36回は全33件のうち3件がこれに該当。国際医療福祉大学大学院に在籍する八巻睦子さんは、施設運営の効率化のカギを握る「見守り機器」をテーマに、在宅への導入を図る際の課題について研究している。目下、本テーマの調査結果をもとに博士論文を執筆中。論文提出前につき具体的な研究成果については割愛させてもらった。

研究助成に応募した動機は

 大学院の修士課程を卒業後、見守り関連サービスを提供する民間企業の企画・開発部門に長く勤務していました。見守りセンサーやコミュニケーションロボットを導入した施設での実証試験に立ち会うなど、施設職員の皆様とともに見守り機器の活用現場に接してきました。この間、研究レポートを書いたこともあり、研究と現場の両方に身を置いてきました。現在は別の企業に勤めていますが、これまでの経験について改めて学術的に取り組んでみたい思い、大学院に入学しました。

 現在は国際医療福祉大学大学院の博士課程に在籍し、福祉用具を専門とする東畠弘子教授の指導のもと、博士論文を執筆しているところです。論文のテーマは採用事例と同じで「在宅介護における見守り機器導入の課題」について研究しています。今回、フランスベッド・ホームケア財団の研究助成に応募したのは、東畠先生のご推薦や、介護ベッドを扱っているという事業が見守り機器と親和性が高いため応募に挑戦してみたいと思ったことがきっかけです。

研究内容を分かりやすくいうと

 現在、高齢者介護施設では、利用者の安全確保や職員の労働生産性向上などの観点から、さまざまな見守り機器が導入・活用されています。在宅介護では普及はこれからですが、見守り機器の種類は大きく以下の2つに大別されます。一つは「安否確認」を目的とするもの。状態が急変していないか、転倒して動けなくなっていないかなど、おもにセンサーやカメラを使って利用者の異変を察知します。もう一つは「離床や外出の検知」を目的とするもので、認知症徘徊感知器などがこれに該当します。ベッドの下にセンサーを内蔵したマットを敷くなどして、ベッドから離れて転倒や徘徊をしていないかどうかを検知するもので、こちらは介護保険の福祉用具適用となっています。

 どちらも、異常があれば警報やモニター画面で関係者にお知らせしますが、その際、異変を知った方は利用者の情報をどこまで正確に把握できるか、また対応にあたり困っている点はないか、機器の使い勝手はどうなのかなど、見守り機器の活用状況を多面的に明らかにすることが研究のおもな目的です。先行して導入が進んでいる施設における利用の現状をふまえつつ、在宅に導入するときの課題を浮き彫りにできればと思っています。

 そのために、東京都の介護支援専門員の方々を対象に、➀アンケート調査と、②インタビュー調査を実施しました。博士論文の審査前につき、研究成果について具体的に示すことはできませんが、在宅介護に導入する際の留意点がいくつか見えてきました。

施設と在宅の環境の違い

 施設と在宅では、見守り機器を設置する環境が大きく異なります。居室やベッド周辺などの居住環境はもちろんですが、最も大きな違いはセンサーの情報を受け取る人が誰なのかという点です。施設の場合、夜間も含め介護職員が配置されていますが、在宅の場合はご家族がメインになると予想されます。また施設の場合、センサーがアラートを出したときだけ見回りを行うなど夜勤を軽減する効果が期待できますが、在宅の場合はアラートはご家族が寝ている時間かもしれません。在宅に導入する場合、ご家族がどこまで機器に対応できるのか不明点が多かったため、介護支援専門員の方々にアンケートとヒアリングを通じて聞いてみました。

技術の進化が一つのキーワード

 見守り機器は技術の進化とともに発展を続けてきました。たとえば徘徊感知機器は、かつて使用できるのはブザーの音が届く家の中に限られていました。今はケータイあり、スマホあり、WiFiありで、遠く離れた場所から結果が分かる仕組みになっています。また、最近では独居する親御さんの安否確認用に、通話可能な見守りカメラを家電量販店で簡単に購入することができます。情報通信技術の発達・進化は目覚ましいですが、利用者の要望にきめ細かくこたえ、使いやすい製品になっているかが在宅における見守り機器普及のカギになると考えています。今後、AIの活用が進んでいくことで、さらに進化した見守り機器が登場することも期待できます。

助成金の使い方について

 フランスベッド財団に限らず、私たち院生にとって研究助成制度は大変ありがたいもので、仲間うちでも情報交換をして応募を探っています。今回の調査研究で、一番費用がかかるのがアンケートの印刷費用と配布する際の郵送料でした。ほぼ全額、助成金を使わせていただきました。実際に単独で助成をいただくのは今回が初めてでしたが、財団職員の方に口座の作り方からとても親身になって教えていただきました。まずはこの論文を書き上げて博士審査の合格を目指していますが、その先は、できれば今回の研究成果を社会に還元し、見守り機器の在宅への普及に少しでも貢献できればと考えています。