介護最前線Front line of Nursing

よしき往診クリニック(機能強化型在宅療養支援診療所)
院長(総合内科) 貝田 航氏
地域医療機関との密な連携により、
在宅に特化した訪問診療体制を確立。
重病で移動がつらい、クリニックが遠い、高齢で通院が難しい──。こうした人が増える中、
「先生が家に来てくれたらいいのに」という声は少なくない。訪問診療の担い手として期待
されているのが、従来より人員配置や緊急対応力を高めた“機能強化型”在宅療養支援診療所
である。
24 時間 365 日の往診体制、看取りや緊急往診の強化など、地域包括ケアの中核を担う存在
として注目されている。今回は、各分野の専門医が連携し在宅医療を支える「よしき往診ク
リニック」(京都市西京区)を訪ねた。
医療機関まで足を運べない人のために
「よしき往診クリニック」は、2017 年の開業以来、在宅医療に特化した訪問診療を提供し てきた。外来は緊急時を除き対応せず、医師・スタッフのほとんどが往診に出ている。
訪問診療は、介護保険の訪問看護と同様に、医師や看護師が自宅へ赴き診療を行う仕組みだ。 高齢化の進展と在宅療養ニーズの増加により、今後さらに需要が高まると見込まれている。 訪問診療に同行するメディカルコーディネターであり、看護師・柳澤克哉さんはこう語る。
「開業当初は、先生が家に来てくれる医療サービスがあることを地域の方はほとんど知り ませんでした。コロナ禍を経て認知は広がりましたが、今でも訪問診療がない地域では知ら れていないことが多いですね」
訪問診療の対象は高齢者だけではない。 自宅から医療機関へ一人で行けない人、家を留守 にできない人、心疾患で外出が難しい人、医療的ケア児、終末期のがん患者など、年齢も背 景も多様である。
病院と同じような診療環境を在宅で
よしき往診クリニックは「機能強化型在宅療養支援診療所(在支診)」として、通院困難な 患者の自宅や施設を訪問し診療を行う。レントゲンや透析以外は、外来とほぼ同等の診療が 可能だ。
機能強化型在支診には厳しい基準がある。
- • 常勤医師 3 名以上
- • 過去 1 年間の緊急往診 10 件以上
- • 看取り実績 4 件以上
同クリニックは単独では満たせない要件を、地域の医療機関 10 以上との連携によってクリ
アした。各分野の専門医が協力し、夜間・休日を問わず 24 時間 365 日の緊急往診体制を実
現している。
貝田航院長(総合内科)はこう語る。
「当院の診療科目は訪問診療とは思えないほど幅広い。内科、循環器、呼吸器、小児科、外科、整形外科、救急科、皮膚科、精神科、放射線科まであります。病院と同じように、いろんな診療科の先生に相談できるのが特色です」
さらに、看護師・薬剤師・介護福祉士・医療事務など多職種から成るメディカルコーディネ ーター(MC:診療補助職)を配置し、診療補助や患者のファーストコール対応を担っている。メディカルコーディネーターは11名。 1 日 10 件前後の訪問診療に同行し、突発的な発熱や転倒にも対応する。現在の患者数は約 500 名にのぼる。
厚生労働省資料
在宅需要増・人材難に地域連携で対応
厚生労働省「患者調査」(2017 年)によれば、在宅患者数は 2040 年以降にピークを迎えると推計されている。一方で医療・介護の人材確保はますます難しくなり、2040 年には医療福祉分野の就業者数が大幅に減少する見通しだ。
よしき往診クリニックが位置する京都府乙訓医療圏でも、高齢化の進展により在宅医療の必要数は増加し、2025 年には 1 日あたり 2 万 7000 人を超えると推測されている。しかし医療資源は限られ、慢性的な人材不足は解消されていない。
貝田院長はこう語る。
「24 時間 365 日対応を維持するため、日々全力で取り組んでいます。だからこそ、年末年始やお盆などは家族行事の時間を確保することも必要です。持続可能な緊急往診体制のためにも、地域全体で支える仕組みが欠かせません」
京都府初の地域医療連携法人「Just2Ys League」誕生
こうした課題に対応するため、2024 年 7 月、京都府内の 3 つの医療法人と地域医師会が連携し、京都府初の地域医療連携法人 「地域医療連携推進法人 Just2Ys League(ジャスティスリーグ)」 が誕生した。代表は、よしき往診クリニックの守上佳樹理事が務める。
法人名には、
- • Just(迅速な対応)
- • League(協力と切磋琢磨)
- • Justice(正義) の意味が込められている。
ジャスティスリーグには、以下の役割が期待されている。
- • 地域包括ケアの中核として在宅医療を推進
- • 24 時間 365 日の緊急往診体制をバックアップ
- • 医療機関同士の機能分担・業務連携
- • 人材・システムの共有
- • 持続可能な地域医療体制の構築
地域全域をカバーする大規模な在宅医療支援体制は全国でも例がなく、その動向に注目が集まっている。
連絡先
よしき往診クリニック
(機能強化型在宅療養支援診療所)
京都市西京区山田四ノ坪町12-2
TEL 075-381-2220

