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厚生労働省 老健局 高齢者支援課
介護業務効率化・生産性向上推進室
室長補佐 米田 亘希氏
ケアプランを紙からデジタルへ。
「ケアプランデータ連携システム」が
ケアマネの事務負担を削減させる
あらゆる分野でAI旋風が吹き荒れている。介護の世界はどうか。AIによるケアプランニングが現実化する一方で、ケアマネジャーの事務処理面の非効率性が問題視されている。居宅介護支援事業所と介護サービス提供事業者間とのケアプランデータのやりとりは、いまだに紙とFAX。文書記載・転記の手間・時間は、データ連絡先の数に比例して増えていくと嘆く事業所が少なくない。厚生労働省の「ケアプランデータ連携システム」はこうした矛盾を解消し、介護現場の負担軽減や職場環境の改善を目的に開発された。導入・利用開始から三年余り、システムはどこまで普及したのか。厚生労働省の担当官に聞いた。
導入率は50%を突破。
普及に拍車がかかる
──まずは「ケアプランデータ連携システム」の簡単な概要を。
ケアプランデータ連携システムは、居宅介護支援事業所と訪問介護などのサービス提供事業者間でのケアプランのやりとりを電子化し、事務負担を軽減するために構築されました。ケアマネジャーも今では介護ソフトでケアプランを作成していますが、訪問看護などのサービス事業所とのやりとりは紙に印刷して、FAX で送付しているのが実情です。文書記載や転記の手間、転記ミスによる返戻に対応する時間などが生産性向上の大きな妨げとなっていました。本システムはこれらのムダをなくし、介護従事者の労力軽減を図ろうとするもの。介護現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)、ペーパーレスへの取り組みといえます。
厚生労働省 資料
──どこまで普及しているのでしょう。
令和5年4月より構築・運用を開始し3年余り経過しました。最初のうちは導入している事業所が少ないため、紙とデータの両方を管理しなければならず逆に事務負担が増えてしまったという声が聞かれました。導入時にはどうしても効率が悪くなる傾向があるもの。当初は連携先がみつからないというご意見をよくいただきました。一方だけ導入してもあまり効果がなく、地域全体で面的に広がっていくことで効果を発揮するものなのです。
介護職員の賃上げを実現する「処遇改善加算」の実施、そして訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援等も加算の対象になったことも追い風となり、今年に入ってから普及の流れが出てきました。本システムの利用対象は、居宅介護支援事業所・訪問介護事業所など全国約28万事業所。利用するにはライセンス申請が必要で、その有効ライセンス数を分子に算出すると、ケアプランデータ連携システムの導入率は7月末時点で53.1%。2つの事業所に1つが対応というところまで来ています。今後、業務フローが確立され習熟度を増すことによって、導入率も相乗的に伸びていくと期待されます。
厚生労働省 資料
作業時間3分の1、経費は2分の1に削減
──具体的にどんなメリットがあるのか、利用者の声は。
本システムを導入することで、毎月紙でやりとりしていた介護事業所間のケアプランのやりとりに関する負担がかなり軽減されたと聞いています。調査研究によれば、居宅介護支援事業所・介護サービス事業所ともに転記不要、FAX・郵送不要となったことで印刷・郵送・移動等の作業時間が約3分の1に軽減、人件費・印刷費・交通費などの経費が約2分の1に削減されるという試算もあります。データ連携先が増えるにしたがって、FAXなど文書のやりとりにかかる業務負担が軽減されていくようです。ちなみに、厚労省では令和5年度から「介護職員の働きやすい職場環境づくりの表彰」を行っていますが、昨年度内閣総理大臣表彰を受賞したのは、本システムを用いて大幅な業務改善を達成したことが評価された事例でした。
(受賞事業所は㈱トライドマネジメント(居宅介護支援事業所・神奈川)。ケアプランデータ連携システムの効果的な活用などにより、提供票の紙枚数を月2,100枚から1,350枚へ、FAX送信時間を月4.75時間から2.75時間に削減。ケアマネジャー1人あたりの要介護者の平均担当件数は34.5人から43.7人へ増加。平均年収も427万円から491万円へ引き上げるなど、業務負担の軽減と処遇改善を同時に実現したことが高く評価された/厚労省ホームページ報道発表資料より)。
──ゴールはどこにあるのでしょうか。
最終的には、介護現場におけるデスクワークから紙をなくしてできる限り電子でやっていくことを目標にしています。ケアプランデータ連携システムを利用いただくことで、居宅介護支援事業所および介護サービス事業所における事務処理の転記不要、FAX不要が実現します。そうすることでこれまで多くの時間を費やしていた煩雑な事務処理の手間・時間が減ります。ただ仕事量が減るだけでなく、ケアマネジャーは直接事業者さんに細かな指示を出したり、利用者さんの相談に応える時間を持ったりできるようになります。
介護ソフトはそのまま使える
──これからシステムを導入しようとする事業所にアドバイスを。
本システムの導入に際しては6つのステップが必要になります。設備投資という意味では、➀WindowsのPC環境 ②ケアプランデータ連携システムに対応した介護ソフトの導入の2つです。本システムの利用を標準仕様として取り入れている介護ソフトであれば、介護ソフトの方に手を加える必要はありません。システムの利用にあたっては、➂電子申請・届出システムで利用されているKJから始まる14桁のユーザIDとパスワードが必要です。そのうえで、④本システムのヘルプデスクサポートサイトにアクセスしてアプリ版製品をダウンロード。⑤パソコンに電子証明書(介護DX証明書もしくは介護保険証明書)をインストール、最後に⑥ライセンス申請の手続きをして完了です。なお、ケアプランデータ連携システムは来年1月「介護情報基盤」と統合し、介護WEBサービスの一機能に移行(費用なし)します。介護情報基盤とは、これまで関係者の間で分散していた情報を一つに集約し、情報連携をすることで介護に係る人たちのやりとりや手続きをより良いものにするための仕組みで、ケアプランだけでなく、介護被保険者証の情報や要介護認定に関する情報とも連携できるようになります。
──ケアマネジャーや介護職員の高齢化が進み、こうしたデジタル化についていけない人もいるのでは。
そもそもパソコンの使い方のところからていねいにご説明する必要があると思いますし、利用マニュアル等もきめ細かく整備しなければならないと考えます。これまでアプリを使っていたものが別の介護WEBサービスに移行するので、またひとつ新たな対応をお願いすることになるので、厚労省では目下説明会を実施するなどしてケアプランデータ連携システムの普及に努めています。
これから導入する事業者様には2つのお願いがあります。①介護WEBサービスに移行するという話をしましたが、現在(令和8年中)はアプリ版を使えるのでそれを使ってください。前述した6つのステップに今のうちに対応しておくと慣れることができます。②介護WEBサービスの登録手続きについても今すぐできる簡単なお手続きですので、ご対応お願いいたします。登録手順については、7月29日の介護保険最新情報Vol.1529「ケアプランデータ連携システムの介護保険資格確認等WEBサービスへの移行について」にてご案内しておりますので、ぜひご参照ください。困ったことがあればヘルプデスクサイトを用意しています。移行にともなうご質問についても「介護情報基盤ポータル」(https://www.kaigo-kiban-portal.jp/)という窓口があります。なお、本年度中は登録ライセンス料21,000円が無料になる「フリーパスキャンペーン」を実施中ですので、是非ともご利用ください。
連絡先
厚生労働省 老健局 高齢者支援課
介護業務効率化・生産性向上推進室
TEL:03-5253-1111(代表)

