日日- HiBi - Day-to-Day
特別という、線引き―
特別という言葉は、優しさにも差別にもなり得
る。知人の紹介で、フラワーアーティストのRさん
と出会った。彼女の名刺に印刷された「アート×
福祉」の文字が目を引いた。聞けば、ダウン症の
お子さんがいるという。障がい児だった義弟Ei
ちゃんのエピソードを伝えると、Rさんの瞳にふ
っと滲むものがあった。
彼女から教わったのは「インクルーシブ福祉」
という考え方だ。障がいのある人もない人も、と
もに助け合いながら社会で生きることを目指す。
「息子が大人になるころ、少しでも選択肢の多い
社会にしたいんです」という言葉には、母親とし
ての最大の愛と確かな決意が宿っていた。我が子
のためだけでなく、社会全体を変えようとする視
座の高さに胸を打たれた。
出会いから二か月後、私たちは「書道×蓮の葉
アート」のワークショップを共催した。アートパ
ネルに張った蓮の葉を自由に色付けし、その上に
好きな筆文字を書く。子どもも大人も混じり合い
夢中で制作する時間にたくさんの笑顔があふれた。
来年は、大人も障がいのある子どもたちも参加
できるイベントを企画している。特別を「分ける」
のではなく、「共にある存在」へと変えていくた
めに。小さな一歩を踏み出したばかりだ。