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ふれあいの輪は、新しいホームケア・在宅介護を目指して、
(公財)フランスベッド・ホームケア財団によって
運営されています。

ふれあいの輪

知っとく!Shittoku

木川靖洋氏

十勝リハビリテーションセンター 院長

白坂 智英

日本最先端のリハビリテーションセンターとは?
歩行訓練ロボットや電気刺激・磁気刺激装置を集約
AIを活用して回復予測も!

2000年に介護保険法が施行され、国内初の回復期リハビリテーション病棟が設立された。以降、日本の医療はリハビリテーション重視へと舵を切り、高齢化社会の進展や機能障害をともなう病気の増加などから、リハビリテーションの重要性がいよいよ高まっている。
そして近年、リハビリテーションの現場は技術革新による新たな局面を迎えている。ロボットや電気刺激・磁気刺激装置など高性能な電子機器、さらにはAIによる予測システムの登場と採用だ。これら先進機器を集約した日本最先端のリハビリテーションセンターが北海道帯広にあると聞いて、さっそく取材してきた。

十勝リハビリテーションセンター

十勝リハビリテーションセンター

十勝平野は広大である。果てしなく広がる平野に、中核都市である 帯広市を含め1市16町2村が点在し、約34万人が住んでいる。

このあまりの広さが、時として医療の障壁となることもある。例えば脳梗塞のt-PA療法のように数時間以内に処置しなければならない場合、移動に時間がかかって手遅れとなる危険性がある。

「しかしリハビリテーションは違います。最先端の機器と優秀なセラピストを集めることで、地方でも最先端のリハビリテーションを提供することができます」と、十勝リハビリテーションセンター 院長 白坂智英氏は訴える。

十勝リハビリテーションセンターは、リハビリテーションの専門病院である。名前が示すように十勝地方のリハビリテーションの中心となる施設として、道内最大199床の回復期病床と1,141 平米のリハビリテーション室を整備している。

先進リハビリテーション推進室-ARO-を開設

同院が最先端のリハビリテーションを提供するため、2022年に開設したのが「先進リハビリテーション推進室-ARO-」である。それまで施設内各所に配置していたロボットや電子機器を一カ所に集約し、室長に阿部正之氏、専任 セラピストに髙橋良輔氏ら2人を指名した。

AROのコンセプトは次の2つ。
●歩けない人を歩かせたい、自宅に帰れない人を帰してあげたい
●地方でも最先端のリハビリテーションの提供

「狙ったのはリハビリ効果の最大化です。高性能な機械を採用する病院は多いですが、施設内に点在しているままでは連続性がなくなり埋もれてしまいます。しかしこれらを一カ所に集めることで、途切れることにない効果的なリハビリテーションができるようになります」と、白坂氏は自信を見せる。

AROでは歩行や手の動き、飲み込みの支援など、機械でサポートできる環境を整え、それらの種類は15種、台数にして30台近い機械が並んでいる。

「今までリハビリテーションの現場では多くの療法が生み出され、推奨されてきました。しかし、これらが限界に達し、新たな突破口が必要になってきました。そこで、注目されているのがロボットであり、電子機器 なのです」と、髙橋氏は背景を教えてくれる。

先進機器ならではの特性

ロボットや電子機器には 次の5つの特性があると 白坂氏は 説明してくれた。

1、正確な調整
人間であれば強・中・弱の力加減程度だが、機械であれば何段階でも細かな調整と組み合わせが可能になる。

2、持久性
機械は疲れを知らない。足の麻痺した人をセラピストが支えても、せいぜい10メートルほどしか訓練できないが、ロボットならいくらでも訓練を継続できる。

3、作用点の増加
人間1人では2本の手でしか患者を支えることしかできない。しかし、ロボットであれば作用点を人の手以上に増やすことが可能だ。機械なら患者の5本の指をバラバラに動かすこともできる。

4、モチベーションの維持
リハビリは長期に及び、毎日訓練することになる。単調な作業の繰り返しが続き、さすがに飽きがきてしまう。しかし、電子機器であれば記録を把握することで励みになり、ゲーム性を持たせることで、モチベーションを維持することも可能だ。

5、モニタリングとフィードバック
電子機器には記録機能があり、それらを集計し、グラフ化することで、プランニングに役立てることができる。患者自身がリアルタイムにモニタリングし、姿勢の補正に役立てることも可能だ。

これらの特性を髙橋氏がプロジェクターを使って紹介してくれた。動画も入っており、分かりやすいプレゼンテーションであった。「これら複数の機器を組み合わせて、テーラメイドのプランを患者さんに提供することができます」と髙橋氏は説明する。

自宅リハビリへの期待

ロボットや電子機器には 次の5つの特性があると 白坂氏は 説明してくれた。

同院では患者の回復予測のためにAI活用も進めている。セラピストや医師による経験からの予測よりも高い精度を提供できる。「早期から自宅でのリハビリの準備、家屋の改修などができるようになります」と、白坂氏は語る。

自宅でのリハビリでは、電子機器の活用も推奨している。その代表的なものがフランスベッド の提供するNESS L300™、L300Go®、NESS H200®だ。
福祉用具の活用事例参照)

病院でのリハビリは1回3時間に限られており、後は自主リハビリとなる。また、術後の入院リハビリも5カ月までとなっており、自宅でのリハビリが求められる。「コードレスになって大変便利になりました。コンパクトで使いやすく、退院後も病院と同じレベルのリハビリができるようになって、高く評価しています。今後、ユニバーサルデザインなど、見た目の改善を進め、誰もが手に取りやすいようにしていただければと思います」と、白坂氏は期待を口にした。

十勝リハビリテーション
センター

〒080-0833
北海道帯広市稲田町基線2-1
TEL 0155-47-5700
https://www.hokuto7.or.jp/hospital/rehacenter/top/