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デヴィアングライニさん

ケアハウスのぞみ
チームリーダー介護福祉士

デヴィアングライニさん

外国人技能実習生から
介護福祉士の合格第1号
介護の現場で外国人活躍の道を切り開く

要介護認定者は年ごとに増え続け、介護職員の不足が大きな課題となっている。推計では2025年度に243万人、40年度には280万人が必要とされており、人材の手当が急務である。そこで注目を集めているのが、海外からの介護技能実習生の受け入れだ。「ケアハウスのぞみ」でチームリーダーをしている介護福祉士デヴィアングライニさんも介護技能実習生であった。そんなデヴィさんを訪ね、日本を目指した理由や資格取得の苦労点などをお伺いした。

ケアハウスのぞみ

●プロフィール デヴィアングライニさん
1993年生まれ、インドネシア ランポン州の出身。地元で助産師の資格を取り、25歳で来日、28歳で技能実習生から初の介護福祉士に合格。日本語検定1級とケアマネジャーを目指し、働きながら勉強の毎日。

アニメを見て日本に憧れる

「のぞみグループ」は長野県小諸市を地盤に、福祉施設を展開している企業グループである。保育園から子ども食堂、学童保育、病院、ケアハウス、特養、通所介護、訪問介護など、人生のライフサイクルに沿ったさまざまなサービスを提供している。

介護職員の不足は長野県も例外ではない。人材確保の施策としてのぞみグループでは、監理団体である介護施設協同組合を設立し、2018年から本格的な外国人技能実習生の受け入れに着手した。

デヴィアングライニさん(以下・デウィさん)はその受け入れの一期生であり、外国人技能実習生から国家資格である介護福祉士の試験に合格した第1号である。

インドネシアはスマトラ島ランポンの出身である。なぜ日本を目指したのだろうか。

「日本が好きだからです。子どものころから日本のアニメを見て、日本に憧れていました」とデウィさんは笑顔を見せる。

25歳まで地元で助産師をしており、自分のクリニックを持ちたいと思っていたが、インドネシアにいてはなかなか貯金が貯まらない。そんなときに日本で働く案件を見つけ、さっそく応募した。

長野は寒いが初めての雪に感激

その受入先がのぞみグループであった。それまで農業や建築業の分野で日本に渡る道はあったが、介護では見られず、飛びつくように参加を決めた。これが2018年のことである。

「日本では助産師の仕事はできませんが、医療現場にいたので介護ならできると分かって応募しました」(デヴィさん)。現地で日本語を学習し、日本に渡って介護技能実習生となる。受入先が「ケアハウスのぞみ」であった。特定施設入居者生活介護の指定を受けており、要介護3・4・5認定の方も多い。高い比率の職員数が求められ、慢性的に人材不足の課題を抱えていた。

「地方だから募集が簡単ということはありません。むしろ日本の若者よりも海外の研修生の方が、入居者の要望にきめ細かく対応できるのではないか。長く勤めてくれるのではないかと考え、積極的な受け入れを開始しました」と、ケアハウスのぞみ 施設長 石原新治氏は説明する。

「長野に来て初めて雪を見たときは感激しました、もううれしくて大騒ぎしていました」と目を輝かせる。「でも、あんまり寒くて3度目にはもういいと思うようになりました」と笑う。

コミュニケーションに苦労する

日本は労働者不足が叫ばれ、海外からの労働力が必要とされているが、いくつものハードルがある。毎年試験があり、誰でも無条件に上限まで在日が保証されているわけではない。介護の現場では介護福祉士の資格を得ることで永住が可能となるが、現場で3年間の介護経験を積んで、やっと介護福祉士の受験資格を得ることができる。

デヴィさんはこの試験をことごとく一発でクリアし、外国人技能実習生から介護福祉士となった第1号である。もっとも勉強も簡単ではなかった。働きながらの勉強で、満足な自由時間もなかった。

「いつも参考書を見て勉強しているんです。参考書がボロボロになるほど勉強していましたね」と、石原氏は努力を認める

介護福祉士となることで、現場で自分の判断で介護ができたり、会議でも自らの所見やビジョンを語ることもできる。責任は重くなるが、やりがいも増える。

「それでも日本語には苦労しています」とデウィさんも語る。

インドネシアで日本語を勉強したつもりでいても、長野では勝手が違う。特にお年寄りは方言で話しかけてくるので聞き取ることが難しい。それでも日本語の勉強を重ね、日本語検定2級に合格している。ちなみに3級が「高校卒業~社会人基礎レベル」、2級が「大学卒業~社会人中級レベル」、1級が「社会人上級レベル」となっている。

日本に永住しケアマネジャーを目指す

日本を目指している後輩達に何かアドバイスはあるだろうか。

「分からないことは分からないとちゃんと聞いて、先輩に教わった方がいいと思います」と答える。現地では日本へ行くに当たって「はい、分かりました」「がんばります」この2つを教え込まれるという。他の業界ならまだしも、介護ではこの姿勢のままでは難しいかもしれない。

「それとコミュニケーション。コミュニケーションなしに仕事はできません。ぜひ、日本語の勉強をしっかりとやってください」と語る。自身も現在、日本語検定1級を目指して勉強に打ち込んでいる。

デウィさんにお願いしたいとリクエストする入居者様が多いという。すでにデヴィさんは3階フロアを統括するチームリーダーである。

「外国の方はよく働きます。心構えが違います。必死なのです。その点日本人にはどうしても甘えが出てしまう」と、石原氏も認める。

そんなデウィさんが目指しているのがケアマネジャーだ。介護福祉士からケアマネジャーになるにはさらに5年の実務経験が必要だ。それを目指し、デウィさんは張りのある毎日を送っている。

近年、多くの外国人実習生が日本に来るようになった。デヴィさんは、介護の現場で外国人活躍の道を切り開いたといえる。日本を目指す外国人の理想の一人なのである。

連絡先

介護型軽費老人ホーム ケアハウスのぞみ
〒384-0093
長野県小諸市和田966-151
TEL:(0267)25-1161
Web:https://nozomi-g.co.jp/?page_id=11979