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ふれあいの輪は、新しいホームケア・在宅介護を目指して、
(公財)フランスベッド・ホームケア財団によって
運営されています。

ふれあいの輪

福祉用具の活用事例Examples of welfare equipment utilization

藤井 明・候子様ご夫妻

藤井 明・候子様ご夫妻

もしもの徘徊でも安心!
靴に装着したGPSで位置を特定

目的もなく歩きまわり、時には行方不明や交通事故の危険もある「徘徊」。徘徊は家族の心配の種となり、予防や警戒の探索の手間が大きな負担となる。警察庁の統計によると、認知症で行方不明になった人の数は、2022年では全国のべ1万8,709人。調査を開始した2012年から10年でほぼ2倍に増えている。すでに徘徊は社会問題となっているのである。
高齢者向けの簡単見守りグッズやネックレスもあるが、それ自体を持たないで外出してしまう危険性が高い。地域包括支援センターがサポートしてくれるが、サービスの提供時間が限られる。
そこで藤井明・候子様(共に69歳)が採用したのはフランスベッドがレンタル提供する徘徊見守りGPS「itsumo(いつも)」であった。「もしもの心配がなくなりました」と、藤井明様は効果を語る。

高齢化が進む多摩ニュータウン

藤井夫妻がお住まいなのは、都営多摩ニュータウン東寺方団地の一角。東京都西南部の多摩丘陵、八王子、町田、多摩、稲城の4市に広がる日本最大規模のニュータウンである。その都市計画は1960年代から始まり、第一次入居は1970年代から。1980年代にはいくつもの大学が移転し、街は一気に活気づいた。しかしながら現在では高齢化が課題となっている。入居している方の高齢化が進み、高層階での空き部屋も目立っているのが現実だ。

藤井夫妻が東寺方団地に移り住んだのは9年ほど前から。「娘が3人いるんですが、この子たちがこちらに住んでいるものだから、調布の都営住宅から引っ越してきました」と説明する。

「いい所ですね。自然は豊かだし、買い物にも便利。近くに保育園があって、元気に遊び回る子どもたちが下に見えます」と明氏は目を細める。

年末の迷子騒ぎ

奥様の候子様に変化が見られるようになったのは、引っ越しの前後からだという。直前の記憶がなくなってしまい、外出すると帰れなくなってしまう。近くのセブンイレブンなら大丈夫だが、10分ほどの距離にあるスーパーマーケットサミットになると、もう帰れない。「もともと方向音痴だったし、引っ越してすぐには土地勘もない。自分がどこにいるのか分からなくなってしまうんですね」(明氏)。

それでも当初は携帯を持ち歩いていたから探し出すことができた。しかし、2022年12月30日、その携帯さえ持たず、いつになっても帰ってこないことがあった。

妻に留守番をさせて明氏は外出していたのだが、外から連絡しても自宅の電話がつながらない。急ぎ帰宅すると靴がない。近所に住む娘たちに電話し、車3台を出動しての行方探しとなった。4時を過ぎると暗くなる時分だし、すでに外はひどく寒い。

派出所の警察官に相談すると「警察犬を要請するから、匂いの付いているもの、たとえば衣類などを用意しておいてください」との連絡が届いた。9時を過ぎても見当もつかず、いよいよ大ごととなった。

10時半、最後にもう一度探そうということになって、娘たちと周辺の駅、京王多摩センター、聖蹟桜ヶ丘、京王永山を回った。そうして偶然、大通りにいる候子様を発見し、無事に連れ戻すことができた。

徘徊見守りGPS「itsumo」をレンタル

見つかりはしたが、大変な騒ぎであった。

「娘たちと、今までとは違う本格的な対策をしなければならないと、真剣に考えることにしました」と、明氏は振り返る。

それまで名札を書いて持たせていたが、今の状態では持つことさえ忘れてしまう。カバンさえ持たないという。

高齢者向けの簡単見守り携帯もあり、ブザーが付いていたり、メール機能が付属していたりするなど便利だが、これも持つことを忘れてしまう。肌身離さず身に付けることのできるネックレスタイプもあるが、これでも不安が残る。高齢者を見守りしてくれる地域包括支援センターもあるのだが、面倒見はいいがサービス時間が限られる。

そこで藤井家で採用したのが、フランスベッドがレンタル提供している徘徊見守りGPS「itsumo」であった。

「お世話になっているケアマネジャーさんから勧められたものです。靴に付けるタイプで、これなら外出する時でも忘れる心配がないと期待しました」と、明氏は選んだ理由を語る。

2月に紹介され4月には契約して使い始めた。「レンタルなので気軽に使い始めることができます」(明氏)。

時おり充電するだけの簡単運用

「itsumo」は靴紐に付けるだけの簡単装着。装着したら、後は充電するだけで使い続けることができる。75%、50%、30%、15%電池切れの5段階でメールが来るから、30%で充電するようにしている。

使用している本人に聞いてみると「何も変わらない」という。確かにそのとおりだろう。本人にとっては、何も変わることなく使えるのが大きなメリットに違いない。

その靴を履いて週2回のデイサービスに通っている。

「デイサービスには『itsumo』を使用していることをきちんと伝えています。変なものが付いていると、外されたらたまりません」と明氏は笑う。

装着してから半年ほどたつが、幸い「itsumo」が活躍したことはない。

「いざということがなくて助かっています。私たちは『安心』を手に入れることができたと考えています」と明氏は強調するのである。

メーカー担当者の声

坂本 仁志

フランスベッド株式会社
メディカル東京第二営業部
メディカル八王子営業所
主任

夏井 清輝

認知症の高齢者向けに、市町村が独自の施策として探索機器の貸与事業を行っていますが、機器が大きい為鞄に入れたり、ペンダント型で首から下げて着用する必要があり、本人が何も着用せず手ぶらで徘徊をしてしまった際に行方がわからなくなるという課題がありました。

GPS徘徊感知器のiTSUMOは普段から履いている靴に機器を装着する為、手ぶらで徘徊をしてしまったとしても行方を検索できる可能性が高まる為、特に同居の家族だけでなく離れて暮らしている家族の方の安心感に繋がっています。

使い方につきましても家族の方のスマートフォンのブラウザを使用する為、特別なアプリをダウンロードする必要もなく、充電の残量につきましてもメールで届きます。充電はスマートフォンのUSB type-Cケーブルを使用しますので、自宅にある充電機器をそのまま使用でき使い勝手も良いと好評です。

地域包括支援センターや居宅介護支援事業所のケアマネジャーからの関心も高く今後利用者がさらに増加していくと考えます。

iTUMO端末 スペック

サイズ 横幅:38.5mm
高さ:47.5mm
厚さ:11.85mm
質量 約25g
主要機能 ネットワークアシスト測位、GPS単独測位、自己位置通知、第三者検索、電源OFF通知、電池残量低下通知、エリアセンシング、ディープスリープモード、スケジュール位置通知、振動検知通知、遠隔ブザー
バッテリー要領 400mAh
充電 マイクロUSB Type-C
防水 IP68

iTSUMOの端末は小さく軽量なので、ライフスタイルに合わせて装着できます。
普段身に着けているものであれば、靴、シルバーカー、カバン、杖、服、お守りなどいろんな場所に取り付けることができます。
端末からのGPS通信によりPC、スマホ、タブレットなどで居場所を確認・追跡できます。