財団について

理事長ご挨拶

代表理事 理事長 池田 茂

日本における急速な高齢化は、様々な場面でその影響に直面しています。医療や福祉の分野では、更に影響が大きく疾病構造の変化や要介護者の急増、高齢者の医療費・介護費の増加を招いています。

また介護従事者の不足は、現在の重要課題であります。さらに家族構成の変化では、核家族化の進行により、単身世帯・夫婦のみの世帯・夫婦ともに65歳以上の世帯などが増加し、「在宅で介護をする」という能力が減少し続けています。このような中、我が国では、団塊の世代が75歳以上になる2025年を目途に、たとえ重度な要介護状態になっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括システムの構築を推進しています。

福祉用具の活用は、利用者の残存機能を活用し自立を促し、一方で介護者の負担を軽減することができ、重度な要介護状態になっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けるために必要なツールであります。

フランスベッド(株)が、日本初の福祉用具レンタル事業を始めたのは、今から30年以上前のことです。当時は「在宅介護」や「訪問看護」という言葉が広く知られていない時でした。レンタルは在宅に向けてのサービスですから、まずそのところをわかってもらいたい。

そのためにはどうすればよいのかと考え、私は、元号が昭和から平成に変わる頃、3年続けてアメリカの病院や介護施設を見て回りました。その中に、病院に併設された形で、退院する人を対象に、在宅で必要な医療機器・介護機器などの相談を受ける組織がありました。こういう組織や人達が、病院からスムーズに退院し安心して日常生活に移行するために求められていると確信しました。

そのため、在宅ケアの推進と普及を目的とした財団を、1990年4月に厚生労働省(当時厚生省)の認可を受けて設立いたしました。今日まで事業を継続して進めてこられたことは、財団を設立した使命、「在宅ケアの啓発と普及」という課題に貢献できたのではないかと考えています。

引き続き、在宅ケアの充実、地域包括ケアの実現に向け、財団の活動を充実させていきたいと思います。

令和3年4月

公益財団法人 フランスベッド・ホームケア財団

代表理事 理事長 池田 茂